在日韓国人の帰化方法

1 在日韓国人の帰化について

日本で生まれ育った特別永住者の方は、日本の日常の生活に外国人としての不自由さは感じないかもしれません。

帰化をしようと当事務所に実際にご相談にいらっしゃる方にも、何かをきっかけに帰化を決意される方が多いです。
・日本人と結婚するから
・子供を日本で育てるから
・就職が決まったから
・今後の相続で子供が大変な思いをすることを避けるため
・パスポートが家族や友人と違うことが嫌なため
・日本で日本人と同じように育ってきたのに、国籍だけが違うことに違和感を感じているため
など、理由は様々ですが、あるきっかけで帰化を決意しても、帰化申請の大変さにどんどん引き延ばしてしまう方も多いです。

もっとも、帰化申請にはタイミングがとても重要です。

帰化をしようと思った時点では要件を満たしていたのに、実際に外国人としての不都合を感じたときには、要件を満たさなくなってしまったということはよくあります。また、申請時期を引き延ばせば、引き延ばすほど、収集する書類や作成する書類も多くなって、より大変な作業になります。

したがって、帰化することを決意された場合には、いつまでに申請するなどある程度の期限を目標にご準備されることをお勧めします。

2 帰化条件と必要書類

帰化の書類は正本・副本を合わせると一般的に250枚程度にも及ぶ膨大な書類を提出しますが、その中身は個々人によって大きく異なります。
特に韓国人の帰化申請は、書類収集が他の国に比べ種類や分量が多く、そのため翻訳も大変になります。また、特別永住者である在日韓国人の帰化は、他の国の人よりも許可されやすい一方で、申請自体が簡単になるというわけではく、むしろ、日本の書類も増えるため、準備が大変となる傾向があります。

では、特別永住者の韓国・朝鮮籍の方が帰化するためには、どのような条件を満たし、具体的にどのような書類を提出する必要があるでしょうか。

帰化条件

日本への帰化が認められるためには、原則として以下の最低条件(要件)をクリアする必要があります。

  1. 引き続き5年以上日本に住所を有すること(居住要件)
  2. 20歳以上で本国法によって行為能力を有すること(能力要件)
  3. 素行が善良であること(素行要件)
  4. 自己又配偶者等で生計を営むことができること(生計要件)
  5. 国籍を有せず、または日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと(重国籍防止要件)
  6. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、またはこれを企て、もしくは主張する政党その他の団体を結成し、もしくはこれに加入したことがないこと(憲法遵守要件)
  7. 生活していくうえで最低限の日本語能力があること(日本語能力要件)

特別永住者の場合は、上記の「素行要件」と「生計要件」を満たせば、ほとんどの場合許可されます。
では、これらについて詳しく見てみましょう。

素行が善良であること(素行要件)

犯罪に関与していないこと、納税義務を果たしていること、交通違反を犯していないことなどです。

特に特別永住者の場合は、運転される方が多いので、交通違反については注意が必要です。
過去に犯罪に関与してしまった、交通違反があるという方は、経過年数や回数等によってこの条件をクリアできる場合があるので、専門家に相談することをお勧めします。

また、年金に関しては近年厳しく審査されるため、注意が必要です。会社員の方は、年金を支払っていること、会社経営者の方は、会社として厚生年金に加入していることも必要になります。

自己又配偶者等で生計を営むことができること(生計要件)

日本で安定的に生活できる収入や資産が必要になります。世帯全員の収入等も審査されます。収入と支出のバランスが重要になります。住宅ローンや自動車ローンなどは全く問題ありません。

提出必要書類

作成が必要な書類

韓国人が帰化するにあたって、作成しなければならない書類は以下の書類です。赤字の書類は当事務所で作成可能です。宣誓書は、法務局で申請を受け付けてくれる際に、署名すればよいので、申請の際に持参する必要はありません。
在勤および給与証明書」は勤務先で記入してもらう必要があるので、発行されるまでの時間を加味して準備することが必要です。特別永住者の場合は、給与明細書でも代替可能です。

これらの書類で作成に時間がかかるものといえば、「履歴書」でしょう。この書類は、就職活動などに提出する履歴書とは異なり、過去の住所地も記載する必要があります。

したがって、引越しが多い方は、履歴書の記入に苦労することでしょう。特に、長く日本にいる方は、過去にどこに住んでいて、その住所はどこだったかを正確に覚えていないことが多いです。

そのようなときは、出入国在留管理庁から「外国人出入国記録の写し」を取得し、参考にするとよいでしょう。
ただし、この書類の取得には時間がかかるので、早めの申請が必要です。

  1. 帰化許可申請書(5cm×5cmの写真2枚貼付)
  2. 親族概要書
  3. 履歴書(その1,その2)
  4. 宣誓書(受付時にその場で申請人が署名します)
  5. 生計概要書(その1,その2)
  6. 在勤および給与証明書(勤務先で発行)(特別永住者は給与明細書等で可)
  7. 事業概要書(事業をしている方)
  8. 居宅・勤務先付近の略図

赤字は当事務所で作成可能です。

収集が必要な書類

作成する書類とは別に、以下の書類を日本の役所や韓国大使館等から取り寄せます。 韓国大使館からの取得書類は代理人でも可能です。

  1. 国籍・身分関係の証明書
     ・基本証明書
     ・家族関係証明書
     ・婚姻関係証明書
     ・入養関係証明書
     ・親養子入養関係証明書
     ・除籍謄本
     ・パスポートの写し
     ・渡航証明書
     ・出生届出書、死亡届出書、婚姻届出書、離婚届出書(日本の戸籍届の記載事項証明書)
     ・日本の戸(除)籍謄本
     ・日本人配偶者の戸籍謄本
     ・養子縁組・認知届・親権を証する書面・判決書など
  2. 国籍喪失等証明書(法務局の担当官から指示後に提出します。)
  3. 住民票
  4. 会社の登記事項証明書(法人経営している場合)
  5. 許認可証明書・免許証等
  6. 納税関係書類
    (給与所得者の場合)
     ①源泉徴収票
     ②都道府県・市区町村民税の納税・課税証明書
     ③確定申告書控えの写し(決算報告書含む)
     ④所得税納税証明書(その1、その2)

    (個人事業経営者)
     ①確定申告書控えの写し(決算報告書含む)
     ②所得税納税証明書(その1、その2)
     ③個人事業税納税証明書
     ④消費税納税証明書
     ⑤都道府県・市区町村民税の課税・納税証明書
     ⑥源泉徴収納付書及び領収書の写し

    (法人の場合)
     ①法人税確定申告書控えの写し(決算報告書含む)
     ②法人事業税納税証明書
     ③消費税納税証明書
     ④法人都道府県・市区町村民税の納税証明書
     ⑤法人税の納税証明書(その1、その2)
     ⑥源泉徴収簿の写し(申請者に関する部分)
     ⑦徴収金納付書及び領収書の写し
  7. 運転経歴証明書(過去5年分)※免許証を返納された方は運転免許経歴証明書
  8. その他
     ・写真(家族のスナップ写真)
     ・最終卒業証明書または卒業証書の写し(特別永住者は不要)
     ・在学証明書
     ・技能及び資格証明書
     ・自動車運転免許証
     ・土地建物の登記事項証明書
     ・賃貸借契約書の写し
     ・預金通帳の写し   
     ・閉鎖外国人登録原票
     ・出入国記録        など

3 まとめ

特別永住者の方は、ビザの更新申請がないため、帰化を急いでいる方は少ない傾向があります。そのため、これらの膨大な書類を収集・作成する煩雑さから、帰化を考えていても先延ばししがちです。

当事務所では、韓国語の本国書類の日本語翻訳の他、韓国大使館にて韓国書類の取得も致します。したがって、法務局へ行く回数を減らしたい、最小限の労力で帰化申請をしたい、早く申請したいという方は、お気軽にお問い合わせください。

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