収入に不安がある場合の配偶者ビザ取得方法

配偶者ビザ申請の際には、住民税の課税(又は非課税)証明書が必要になります。
これは、日本で生活する上での収入が十分かを確認するためです。

また、入管法5条1項3号では、貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者は上陸できないとしています。

このため、配偶者ビザ申請では収入面についても厳しく審査がなされます。

では、具体的にどのくらいの収入があればよいでしょうか。

1 収入はいくらあればよい?

配偶者ビザ申請において、外国人を海外から呼び寄せる場合は、基本的に日本人(又は永住者)側が扶養者となります。配偶者ビザを取得する外国人配偶者が日本で働いている場合は、外国人配偶者側の収入も合算されます。

それでは、配偶者ビザ取得には、収入はいくらあればいいでしょうか。

目安としては月収で20万程度、年収換算で250万円程度とされています。もっとも、具体的な数字は公表されておらず、おそらく収入だけの絶対的な基準というものはないでしょう。

というのも、当事務所では、この収入基準に遠く及ばない収入または無職であっても、他の部分で生活安定性を補完することで許可を多数得ているからです。

つまり、入管がもっとも危惧することは偽装結婚であって、生計面の審査は様々な個別具体的な事情を考慮し、日本で生活する上で、経済的に特に問題がなければクリアが可能になります。

生計面での考慮要素としては、次のものが挙げられ、これらと収入を総合考慮して審査がなされていると考えられます。

  • 雇用形態
  • 勤続年数
  • 扶養家族の有無(扶養家族が増えるごとにより多くの収入が必要)
  • 居住形態(持ち家か、賃貸か)
  • 預貯金の額
  • 両親からの経済的援助の有無
  • 経済的に安定している身元保証人の有無
  • 外国人配偶者の就職先の内定の有無     など

したがって、収入が少ない・ない場合であっても、他の考慮要素を適切にアピールすることで、充分許可を得ることは可能になります。

2 雇用形態が不安定

アルバイトや派遣社員等といった一般的に不安定とされている雇用形態の場合は、年収が低くなくても、配偶者ビザ取得にはマイナスポイントとなります。

ただし、アルバイトやパートタイム、契約社員であっても、その勤続年数などの状況によっては、安定性をアピールすることは可能です。

一般的に下に行くほど、審査はより厳しくなります。

  1. 正社員(大企業)
  2. 正社員(中小企業)
  3. 派遣社員、契約社員
  4. アルバイト、パート
  5. 無職(親の援助あり)
  6. 無職(親の援助なし)
  7. 生活保護

3 預貯金はいくらあればよい?

預貯金に関しても、いくら以上あると問題ないということは公表されていません。収入に不安がある場合は、預貯金は月収2~3カ月分くらいは欲しいところでしょう。

ただし、生活の安定性を示すのはあくまで安定した収入なので、収入が十分にある場合の預貯金に関しては、少なくてもあまりマイナスにはならない場合が多いです。

4 課税証明書を提出できない

収入が少ない場合や、就職したばかりの場合、海外赴任して住民票を抜いていた場合、無職の場合などは前年度の課税証明書が取得できない場合もあります。

このような場合には、課税証明書が取得できない理由を説明するとともに、今後の収入が見込まれる場合には、今後の収入の安定性を示す証拠と共に示していくことが重要です。

5 年金、健康保険料を支払っていない

年金の支払いや健康保険の加入を示す書類については、必須書類とはされていません。

もっとも、帰化や永住審査の際には、提出が必要とされていることからすると、全く影響がないとはいえません。

また、配偶者ビザを取得して更新を続けていくと、多くの方は次に永住権を取得します。永住権の取得の際には、年金、健康保険料を支払っていることが必須になります。

したがって、この永住権取得のためにも年金の支払いや健康保険への加入は今のうちからしておいた方がよいでしょう。

6 まとめ

以上見てきたように、収入が低いということは、不許可の一要素に過ぎず、最終的には他の様々な事情を総合的に考慮して許可・不許可が判断されます。したがって、収入が低い場合であっても、その収入面をカバーできる手段を講じることで、許可の可能性を高くしていくことは可能です。

もっとも、入管はこの資料を出してくれれば、収入が低くても許可しますよということは教えてくれないので、最初から有効なアピールを積極的にしていく必要があります。
特に注意しなければいけないのは、一度不許可になると再申請では不許可の確率は高くなってしまうことです。

結婚の真実性がクリアになっていないと、数字としてはっきりと示される収入により、審査に大きくマイナスになる可能性もあります。

したがって、1度目の申請で安定した生活基盤を明確に裏付ける客観的資料の収集や合理的な説明がとても重要になります。

当事務所で実際の許可になったケース

ケース①
日本人Aさんの収入はほぼ0で、相手の外国人も留学生のため、世帯収入はほぼ0円。両親は高齢で既に年金生活のため、援助を得ることはできない状態でした。そのような場合でも、将来の生活の説明や、より丁寧な婚姻の信憑性を説明することで、無事1度目で許可となりました。

ケース②
日本人のBさんは、外国人の夫と共に海外で年金生活を送っていましたが、海外から日本に生活の拠点を変えるために配偶者のビザが必要になりました。毎月の年金だけでは配偶者ビザの基準の年収額は満たしていない状況でしたが、このケースでも、貯蓄や婚姻の信憑性から許可につなげることができました。

ケース③
アルバイト生活をしていましたが、その収入は月10万円に満たないCさん。また、Cさんの健康状態からこれ以上アルバイトを増やし、収入を上げることは難しい状況でした。
そのような方でも、奥様を中国から呼び寄せることができました。

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