未成年の中国人でも結婚できる
国際結婚の場合は、どちらの国の法律が適用されるでしょうか。
この点、日本の国際私法によると、「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。」(法の適用に関する通則法24条1項)とされています。
したがって、日本人に関しては日本法、中国人に関しては中国法が適用されるのが原則です。
そうすると、婚姻年齢については、日本では男女ともに18歳以上、中国では男子22歳以上・女子20歳以上とされているので、22歳未満の中国人男性や20歳未満の中国人女性は、中国法が適用されることから結婚ができないとも思われます。
しかし、中国の国際私法では、当事者の共通常居所地、共通国、婚姻締結地の法を適用すべきとしており、日本法でも反致という規定により、「その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による」としています。
つまり、中国人・日本人ともに日本で暮らしている場合、または日本で婚姻を締結する場合には、中国人であっても日本法が適用されるということになります。
したがって、日本で日本の方式で婚姻する限り、18歳の中国人であっても、結婚は可能ということになります。
※この点に関して、他の行政書士のHPで「日本人についても中国婚姻法の要件を満たす必要がある」との記載をしているところが多く見受けられ、ご質問がありますが、これは中国国内で結婚する場合を想定した在中国日本領事館のHPの一部をコピーしたものと思われます。
再婚禁止期間について
中国の法律には女性の再婚禁止期間の制限はありませんが、日本方式で婚姻手続きを行う場合は、中国人女性についても日本民法の再婚禁止期間が適用され、前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。
ただし、離婚したときに妊娠していないことの医師の証明書があれば、離婚後すぐにでも再婚できます。
先に日本で婚姻手続きをする場合の詳細の流れと必要書類
中国人の必要書類
- 以下のいずれか
・無配偶声明書の公証書(日本の中国大使館・領事館で発行)
※「婚姻要件具備証明書」は中国では廃止されました。
・未婚声明書(無婚姻記録証明)の公証書(中国国内の公証処で発行) - 出生公証書
- 上記の日本語訳文
- 中国人のパスポート(一緒に役所で提出する場合)
- (離婚・死別がある場合は、その公証書)
提出先の役所によっては、婚姻要件具備証明書の代わりに、未婚公証書、国籍公証書で足りるところもあります。
日本人の必要書類
- 婚姻届
- 日本人の戸籍謄本(三ヶ月以内のもの)(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
- 日本人の身分確認できるもの(運転免許証等)
以上の書類を日本の役所に提出し、婚姻手続きは完了します(中国人に離婚・死別がある場合は、それを示す資料も必要になります。)。
日本で先に結婚した場合は、中国でも婚姻の効力が生じます。
※なお、先に日本で婚姻手続きをすると、中国の「結婚証」は発行されません。
先に中国で婚姻手続きをする場合の詳細の流れと必要書類
1 中国で結婚手続きを進め、「結婚証」をもらいます。
「結婚証」受領の必要書類
中国人の必要書類
- 中国人の「居民戸口簿」及び「居民身分証」
- パスポート
日本人の必要書類
- 日本の法務局が発行した「婚姻要件具備証明(通称:独身証明)」
この書類は、日本の外務省の認証、及び、日本にある中国大使館(又は総領事館)の認証が必要となります。(「婚姻要件具備証明」は中国にある日本領事部でも発給しています。この場合は前述の認証は不要で且つ②③の中国語訳文等も不要。)
申請の際に必要な書類
・申請書
・戸籍謄本
・運転免許証やパスポート等の身分証明書 - 中国の婚姻登記処が紹介する翻訳会社による上記①の中国語訳文
- 翻訳会社の営業許可証のコピー
- パスポート
日本人、中国人双方が上記の必要書類を持参して、中国人の戸籍所在地の省、自治区、直轄市の人民政府が指定する婚姻登記機関に出頭して登記手続きを行い、「結婚証」を受領します。
2 中国で結婚後、日本への婚姻報告をします。
中国国内で「結婚証」を受領した後(即ち婚姻成立後)、3ヶ月以内に日本の役所に以下の書類を提出します。
- 婚姻届(証人不要)
- 結婚証明書とその日本語訳文
- 中国人の国籍証明書とその日本語訳文
- 中国人の出生証明書とその日本語訳文
- 日本人の身分証明書
- 戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
まとめ
一般的な中国人との結婚手続きをご紹介しました。中国人の戸籍の所在地や婚姻届を提出する日本の役所によって、手続きが異なる場合があるので、事前確認が必要です。
中国で先に行う場合は、日本人も渡航する必要があります。一方で、日本で先に結婚する場合は、中国人は必ずしも来日する必要はなく、中国へ結婚を報告しなくても婚姻の効力は生じます。
早く一緒に日本で暮らしたい場合は、配偶者ビザと結婚手続きはなるべく並行して進めることをお勧めします。