「配偶者ビザの更新をしても3年や5年をもらえません。」
というご相談は多くあります。
配偶者ビザを所持している人は、3年以上の在留期間をもらえないと、永住の申請ができません。
そこで、どのような条件を満たせば3年以上の配偶者ビザが取得できるのか解説します。
配偶者ビザの更新申請の注意点
配偶者ビザの更新は、「在留期間更新許可申請」という申請をします。
この申請は、在留期限のおおむね3か月前から行うことができます。「おおむね」というのは、長期の出張や入院が確定していて、3か月前の申請では間に合わないといった場合に柔軟に対応してくれる場合があるからです。
3か月という期間は、長いようであっという間です。申請できる時期になってから準備を始めると、実は予想していたよりも多くの書類作成や書類収集が必要で時間がかかる場合があるので、余裕を持って準備するようにしましょう。
法務省では、配偶者ビザの更新の際には次の書類が必要とされています。
- 在留期間更新許可申請書:1通
- 写真(縦4cm×横3cm):1葉
・申請前3か月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの
・写真の裏面に申請人の氏名を記載し、申請書の写真欄に貼付
・16歳未満の方は写真の提出は不要 - 配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書):1通
・申請人との婚姻事実の記載があるもの
・発行日から3か月以内のもの - 配偶者(日本人)の方の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの):各1通
・1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行
・1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方
・入国後間もない場合や転居等により、お住まいの区役所・市役所・役場から発行されない場合は、ご相談下さい。
・配偶者(日本人)の方が申請人の扶養を受けている場合等、④を提出できないときは、申請人の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)を提出
・発行日から3か月以内のもの - 配偶者(日本人)の方の身元保証書:1通
・身元保証人には、日本に居住する配偶者(日本人)の方になっていただきます。 - 配偶者(日本人)の住民票(世帯全員の記載のあるもの):1通
・個人番号(マイナンバー)については省略し、他の事項については省略のないもの
・発効日から3か月以内のもの - パスポート
- 在留カード又は在留カードとみなされる外国人登録証明書
- その他
・身元保証人の印鑑
・身分を証する文書等
もっとも、これらの必要書類は、一般的に必要とされる書類であるため、収入が少なくなってしまった方や別居状態にある方など夫婦の状況に応じた書類が必要になることがあります。
配偶者ビザの更新でもらえる在留期間は?
最初に配偶者ビザをもらったときは、ほとんどの方が「1年」の在留期間です。これは、入管としては婚姻の信憑性や継続性、収入の安定性などに関して、1年後にもう一回チェックする必要があると考えているからです。
一方で、そのような点に関して、問題がなければ「3年」や「5年」が出ています。
更新の際にもらえる在留期間についても同様な判断がなされています。
5年の在留期間をもらうには
入管の審査要領によると、5年の在留期間をもらうには、次のいずれにも該当していることが求められます。
- 申請人が入管法上の届出義務を履行していること
- 各種の公的義務を履行していること
- 小中学生がいる家庭では、ちゃんと学校に通学させていること
- 主たる生計維持者が納税義務を果たしていること
- 婚姻生活の継続が今後も見込まれ、婚姻後の同居が3年以上であること
①「申請人が入管法上の届出義務を履行していること」
例えば、住所が変更されたら住居地変更の届出が必要ですが、その届出をしっかりやっていることということです。この他、入管法上の届出義務には、住居地の届出や所属機関の変更の届出等があります。
②「各種の公的義務を履行していること」
年金を収めていることなどが挙げられます。
③「小中学生がいる家庭では、ちゃんと学校に通学していること」
この学校には、インターナショナルスクールなども含まれます。
④「主たる生計維持者が納税義務を果たしていること」
所得税や、住民税など義務である税金を生計維持者が漏れなく納めていることが必要です。外国人配偶者が2つ以上でパートをしているなど、確定申告が必要な場合は確定申告をしっかりとしていることも必要です。
⑤「婚姻生活の継続が今後も見込まれ、婚姻後の同居が3年以上であること 」
配偶者ビザの更新には、同居が重視されます。これは、偽装結婚の場合は、ビザを取得したら、形式上は婚姻関係を継続していても、すぐに別居することが多いからです。
もっとも、やむを得ない場合には同居していなくても更新は許可されます。例えば、会社からの赴任命令が出たものの、子供の教育環境や親の介護などで一緒に移住ができず、単身赴任が余儀なくされているなどといった場合です。
ただし、このような場合であっても、夫婦間で日々連絡を取り合っており、連休には自宅に帰るなど、婚姻生活が維持されているということを立証する必要があります。
また、婚姻生活の継続には、生計の維持も見込まれることが必要です。
夫婦ともに無職となった場合には、更新自体が危ぶまれてしまいます(幼い二人の実子がいるなど、状況によっては更新は不可能ではありません)。
3年の在留期間をもらうには
3年の在留期間をもらうには、上記の5年の基準には該当しないが、以下にいずれにも該当することが求められます。
- 婚姻生活の継続が見込まれ、1年に1度確認する必要がないこと
- 在留状況に問題がないこと
- 滞在予定期間が1年を超えること
①「婚姻生活の継続が見込まれ、1年に1度確認する必要がないこと」
5年の場合同様に、同居と収入が重視されます。収入が安定していて、子供がいるといった場合には、婚姻の継続がより見込まれるため、3年の在留期間が出る可能性が高まります。
なお、婚姻生活が長く、同居していても、離婚調停や訴訟など離婚の意思が明確にされている場合は、1年の更新も難しくなり、6か月の期間となります。
②「在留状況に問題がないこと」
公的義務の履行の他、法律違反がないことが必要です。申請の前には、年金の支払い忘れなどをチェックしましょう。
③ 「滞在予定期間が1年を超えること」
最初に配偶者ビザを取得した際には、婚姻の信憑性など婚姻の継続性に関して、まだ疑念の余地があるため滞在予定期間は1年以下とされることが多いです。したがって、婚姻の生活状況によっては、3年以上を狙うことが可能です。
まとめ
簡単にまとめると、配偶者ビザの更新で、3年又は5年を狙うには、結局は客観的に婚姻生活の継続に問題がなく、すべき義務をしっかりと履行し、長い婚姻の実績を作ることが前提となります。
あとは、その実績を入管に合理的に説明することが求められます。申請の際には、入管ほホームページにある必要書類に加えて、そのことをしっかりとアピールする資料も添付することが必要です。
配偶者ビザで3年以上がもらえたら、いよいよ永住申請です。
永住申請は他の在留資格よりも強力な在留資格なので、その分厳格に審査がなされます。他の要件も必要になってくるので、専門家に相談することをお勧めします。